恋人達の季節

Gと最近ひんぱんに連絡をとっていた。
メールだったり、電話だったり。
Gにもう彼女がいるのを知っているけれど、そんなのはお構いなしにどんな時間だろうと、どんな日だろうと声が聞きたくなったら電話をしたし、Gとコミュニケーションを取りたかったらメールした。
ある朝のこと。
Gから『困った風』のメールが入っていた。
私はそれが何の意味か全く解らなかった。
ふと気になって送信履歴を見ると、真夜中にGに対しての想いを綴ったメールを自分が無意識の内に送っていた事に気付いた。
ビックリしてすぐに謝りのメールを入れた。
Gに取ってはそんなメールは迷惑以外の何物でもないだろうから。
眠剤を飲んだ後はいつも記憶が曖昧。知らない内にメールを送ってる事なんてしょっちゅう。
このままじゃせっかく仲良くなったのに、嫌われちゃうと思ってクスリを飲んだ後に携帯を手近に置くのを止めた。
それだけ気をつけてたのに私はまた意味不明のメールをGに何回も送りつけていた。その中にはしっかり意識があり、ただ単に甘えたいがために取るに足らない日常の出来事をメールに書いて送ったものもあった。1番の問題はその意味不明のメールの内容だ。
Gには全く関係の無い事をダラダラと書き付けたかと思うと、今度は『Gが冷たい』やら『すぐに返事して』やらワガママの言い放題。
一体私はGの何?ってGでなくても思うような無神経な事ばかりを繰り返していた。
そのうち、たった一行のあきれたような返事も来なくなり、私は居ても立ってもいられなくなった。

『また大切な人を無くしてしまう!』

焦った私はダメ押しのように更にメールを送る。
返事は無い。
泣きそうになりながら勇気を出して電話してみると
『留守番電話におつなぎします…』
と機械音声が空しく繰り返されるだけだった。
とうとう着信拒否…されちゃった…。
もう取り返しがつかない。
また大切な人を無くした。
やっとの想いで仲直りしたのに。細くて今にも切れそうな糸を慎重にたぐりよせたのに。
つまんない自分のワガママでまた全てを失ってしまった。
きっともうGからは連絡は来ないだろう。
私からも今日をもってGには一切連絡しない事にした。
またいつかのように遠くから幸せを願ってる。
嫌われたのが寂しくてしょうがないけど、自業自得。
縁も無かったという事だ。やっと諦められそうな気がする。